エレベーター方式や二段方式・多段方式など、構造により複数の種類がある機械式駐車場には、敷地を有効活用できるというメリットがあります。しかし時代とともに居住者のニーズも変化し、近年、マンションの機械式駐車場に空き区画が増え、そのことが管理組合さまの悩みの一つになっているという事例も出てきています。
空き区画の存在は、駐車場使用料収入の減少につながります。また、定期点検や、部品等の修繕・更新など設備の維持管理に経費が必要であり、さらに20年~25年経つと改修時期が訪れ多額の出費が管理組合の会計を圧迫することにもつながります。
駐車場の利用状況によって解決策を検討・選択することになりますが、ここでは管理組合さまの問題解決に向け、機械式駐車場を解体し平面化するというご提案を取り上げます。
機械式駐車場の問題を解決する一つの選択肢が機械式駐車場を解体し、新たに平面駐車場を設置する方法です。この選択肢を採った場合、次のようなメリットと考慮すべき点があります。
工法は主に2種類あり、地盤の状況などにより決定いたします。
駐車場撤去後、ピット(撤去後の穴)を再生砕石などで埋め戻した後、アスファルト舗装で仕上げます。(地盤の状況により軽量骨材を使用し、埋め戻す場合もございます。)
ピットを埋めずに金属製の構造物(鋼板)で塞ぐ工法です。軽量で沈下の恐れが少なく、改修期間が短いなどの利点があります。費用は埋め戻し工法より割高で、設置後の維持費用(排水ポンプのメンテナンス等)が必要になります。
機械式立体駐車場は、その構造から大きく7つに分類できます。
このうち、1~6までは商業施設などの大型駐車場に用いられることが多く、7の2段・多段方式は、マンションに多く設置されています。(※一般社団法人 マンション管理業協会「機械式立体駐車場の安全対策」より引用)
前段では平面化工事のご提案をさせていただきましたが、その他の選択肢として、3段以上の多段式の駐車場から2段式に変更する方法もございます。
近年では、車高の高いRV車のニーズが高まり所有する方も増えてきているため、高さ制限のあった機械式駐車場から、高さを変更する改修工事を施すことで、駐車区画数は減るものの駐車場契約者数が増加し、結果として収入増に繋がるマンションもございます。
1995年竣工の当マンションは、2021年に「機械式駐車場」を埋め戻し、将来を考慮した「平面駐車場」にリニューアルしました。
当マンションの機械式駐車場は、3段式2列の仕様でしたが、地下の中段と下段の利用者がなく、6台の区画のうち使っていたのは地上2区画だけでした。使用料収入が2区画分しかないのに、保守点検や修繕の費用は継続的に必要になること、機械式駐車場として使い続ける場合は、リニューアル工事を行わなければならないことから、平面化する決断をしました。
実は10年前にも機械式駐車場の一部を埋め戻し、平面駐車場にする工事を実施。2回目の埋め戻しによって、機械式駐車場は全て平面になりました。今回の工事では同時に車路の舗装工事も実施し、使いやすくなりました。
そして管理組合の長期修繕計画にもゆとりが生まれ、資産価値向上への新たな施策を考えることにつながりました。
※平面化時点で既に契約台数が10台であったことから、収入に関しては増減なしで計算(記載数字は2021年1月時点)
*詳細は長谷工コンタクトセンターにお問い合わせください。